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知床エクスペディション

知床半島周回シーカヤックツアー「知床エクスペディション」を主催するガイド・新谷暁生のブログ。

2016年の知床エクスペディション

最後のニセコ雪崩情報を書き終えた。全層雪崩が心配だが、もう良いだろう。しかしまだ雪は多い。3月末に羊蹄山で雪崩死亡事故が起きた。最近は新雪を求めて以前では考えられないところを滑る人たちが多い。低気圧降雪と傘雲は危険判定の重要な指標だ。厄介な雪に風がつけばいっそう雪崩が起こりやすくなる。残念な事故だった。
連休の知床は参加者3名、そのあと5月25日から7回目のアリューシャン遠征だ。今回はアラスカ半島近くのコールドベイからウナラスカのダッチハーバーまでを漕ぐ予定だ。
アリュート民族がロシアとアメリカによって滅ぼされてからこの海を漕ぐ人間はいない。ここはロシア時代のカリフォルニアへの遠征ルートだ。ロシア人に指揮された多数の皮舟(ロシア語のバイダルカとして知られている。アリュート語ではイキャク)がラッコ猟や交易のためにこの海を行き来していた。
コールドベイは第2次大戦のアメリカの航空基地だ。ここを飛び立つB24爆撃機がアッツ島やキスカ島の日本軍を爆撃した。アリューシャンの島々には今もトーチカや滑走路、兵舎の残骸が数多く残っている。70年前ここは戦場だった。それにしてもコールドベイとは寒そうな地名だ。
昨年12月21日に谷口けいが、今年2月12日には山本昌美が亡くなった。二人とも早すぎる死だった。谷口けいの冒険の話をもう聞くことができない。彼女の死は植村直己の死がそうであったように、すべての境界が取り払われヒマラヤ登山ですら変貌させたアウトドア文化がもたらした悲劇と思う。一昨年、知床の海を一緒に漕いだ。力強い漕ぎだった。けいちゃんはとても楽しそうだった。
山本昌美、ヤーミーとは30年前、カリフォルニアのパタゴニアで一緒だった。私はウッドショップの大工、ヤーミーは本社2階の才能あるデザイナーだった。よく隠れて一緒に煙草を吸った。もうあの声を聞くことはできない。ヤーミーは日本最初の女性シーカヤッカーだ。二人に会えないのはとても寂しい。
今年の知床エクスペディションはアリューシャンが終わった7月から始める予定だ。今年はどんなことが起きるだろうか。成長した若いヒグマたちは一層やんちゃになっているだろうか。海はどうだろうか。カラフトマスは来るだろうか。近いうちに日程を決めるので、興味のある方はぜひ連絡を。また知床の季節がやってきた。

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プロフィール

名前
新谷暁生
性別
男性