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知床エクスペディション

知床半島周回シーカヤックツアー「知床エクスペディション」を主催するガイド・新谷暁生のブログ。

知床林道利用についての覚書

知床林道とは国道交点からカムイワッカ大橋を経てルシャに至る道であり、国道交点からカムイワッカまでを北海道、その先ルシャまでを林野庁が管理する半島ルシャ側の山中をたどる道路である。この道は一般車両の通行を認めておらず、各所にゲートを設けて通行を規制している。利用は林野庁、環境省と、歴史的にルシャで定置網漁を行ってきた19号番屋に限られる。
昨年秋、私たちは悪天候で海上漕行が危険なため、林道を徒歩でカムイワッカまで歩くことになった。そのため各方面にご迷惑をかけるとともに、大変お世話になった。これは私にとってもきわめて例外的な判断であり、20年を超える知床での経験の中でも初めての事態だった。私は規則を尊重して漕いできたし、そのために安易な林道利用を控えてきた。

知床の気象は気圧配置に左右される。カヤック行で最大の危険は風であり、海上に突き出た高い山が連なる知床では、時に強い風が吹く。私はガイドとして知床の素晴らしさを人々に伝えることを仕事としているが、同時に人々の安全に大きな責任を負っている。安全が何よりも優先する。
今回、緊急避難的に林道を使ったが、当初、北海道網走土木現業所は道道の通行に難色を示した。しかし林野庁、環境省は事態を理解して便宜を図ってくれた。土現も最終的にはそれを認め、例外的に通行を許可してくれた。
知床林道の利用はカヤッカーにとって最後の選択肢だ。今後も計画の中に林道を安易にエスケープルートとすることはない。シーカヤックはスポーツであり、海や海岸の危険を回避しつつ目的を達成することに意味がある。この点で林道を使った今回の行動は失敗である。一方で全員を無事連れ帰ることができたことに私は安堵している。
本年2月に北海道庁でこの問題について話し合いの場を持つことができた。出席は道議会議員2名、道担当者2名で、私は当時の状況を説明した。議員と担当者はそれを理解し、現場での柔軟な対応について努力するという趣旨の意見を述べてくれた。
知床は原始が色濃く残されている国立公園あり、世界自然遺産登録地でもある。私はこの海を漕げることに感謝している。そしてあらためてここが生活者の海であること、大勢の人々の努力によって環境が守られていることを肝に銘じ、漕ぎ続けたいと思う。

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プロフィール

名前
新谷暁生
性別
男性